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小説 【彩られた無色】  一覧

 

 

前のお話

小説 【彩られた無色】 第22話 彼を信じてもいいのかもしれない。

 

 

 

第23話 死にたいわけでもないけれど、生きたいとも思えない。

 

 

 

 私は、自分の親を知らない。
 
 その人たちは、私を養護施設の前に捨てた。
 
 
 当時はニュースなどでも話題になっていたそうだが、紆余曲折あって、捨てられていたところとは違う養護施設で育ち、小学生になる前に里親に引き取られた。
 その家は、とても裕福な家で、贅沢な暮らしをさせてもらった。
 
 生活自体は裕福だったけれど、楽しいとは言えない生活だった。
 
 私は、里親に嫌われていたから。
 養父は、優しくて聡明な人だったけれど、養母は私を疎ましく思っていたようだ。
 
 自分に子どもができなかった養母は、親族たちから疎まれ、蔑まれていた。
 
 仕方なく養子を貰ったが、面白いわけがない。
 
 さらには、その子どもが優秀で人当たりもよく、周囲に期待されているのであれば、その子を憎むことは当たり前だ。
 
 それでも、自分が嫁いできた家の人たちが可愛がっている子どもに対して、嫉妬という醜い感情を曝け出すわけにもいかない。
 
 だから、誰もいないところで、その子を傷つけ続けた。
 自分の夫や、その親族がいるところでは“いい母親”を演じ、その子どもを可愛がった。
 2人きりになれば、酷い罵声を浴びせ、無視し続けた。
 
 部屋から出ることさえも許さず、物音を立てることさえ禁じてる始末だったのだ。
 
 その子どもは、私のことだが、養母にとっては「そこにいるだけの物体」と言えたのかもしれない。
 
 私自身も、この家に来る前から人と関わることが嫌いだったし、人間と言うものに興味がなかった。
 だからこそ、養母の行動に対しても「人間なんて、こんなものだ」と無意識に割り切っていたところがある。
 顔も知らない、私を捨てた本当の親も必要としなかったのだ。
 
 私が、誰かに必要とされることはない。
 
 ただ、「生きていくためには、人と関わらなくてはいけない」ことを、本能的に知っていた。
 だから「良好な人間関係」を築く方法を身に着けていただけなのだ。
 
 私は、かなり早い段階から自分自身を偽ることを覚えていた。
 
 それが、生きていくコツなのだと悟ってしまった。
 
 
 だから、養母が考えていることは、なんとなく理解していた。
 
 自分以外の人間なんて、どうでもいい。
 
 他人など、信用できない。
 
 5歳になったばかりの私は、そう思っていた。
 
 
 だからこそ、養母から嫌われていたのかもしれない。
 
 
 
 私は、生きることに嫌気がさしていた。
 生まれてきた私は、すぐに不要と判断された。
 
 そんな私が、生きることを楽しめるわけがない。
 
 死にたいわけでもないけれど。
 
 生きていたいとも思えない。 
 
 
 物心ついたことには、その考えが染みついていた。
 

 

 

泪-rui-

 

 

次のお話

小説 【彩られた無色】 第24話 人と関わることを拒み続けてきた

 

 

 

 

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  • あなたは、あなたを大切にしてください。私は私を大切にします。
    泪-rui-
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