小説 【彩られた無色】 はじめに。

  • 2019.05.07 Tuesday
  • 16:39

 

小説【彩られた無色】

 

 

こんにちは、泪-rui-です。

 

小説を公開しました。

 

 

現代ドラマです。

 

少し暗めの作品になっていますので、ご注意ください。

 

 

カクヨム様、個人サイトでも公開していたり、公開予定だったりします。

 

ブログで公開しているものは、上記での公開とは改行などの形式を変えてありますので、ご了承ください。

 

 

カテゴリー表示にすると、古い記事から表示されますので、

 

初めから読めるようになっていますので、ご活用ください。

 

拙いものですが、読んでくださると嬉しく思います。

 

 

泪-rui-

小説 【彩られた無色】 第1話

  • 2019.05.07 Tuesday
  • 16:54

 

小説【彩られた無色】

 

第1話

 

 

生きていくことは簡単だけど、生活を維持して生き続けることは難しい。

 

いっそのこと早く終わってほしい命だけど、そうはいかないのが社会というものだ。

 

自ら命を絶ってしまいたくなるときもあるけれど、そんな勇気はないから生活を維持するために働くしかない。

 

楽しくもないし、幸せと感じることもない。

 

ただ、生活を維持するために働いて、食べて、寝るだけの生活なのだ。

 

 

 

私は、生きていることを仕事と割り切らなければ生きていくことができない。

 

生きていくためにはお金が必要だから稼ぐために笑うし、人に優しくできる。

 

自分自身が犠牲になろうと、身体を壊そうと関係はない。

 

それで早く人生が終わるのならそれでいい。

 

生きていることはつまらないし、どうでもいい。

 

心が満たされなくても、社会生活が送れていれば問題はないのだ。

 

 


心から笑った記憶はないし、笑いたいと思ったこともない。

 

顔に笑みを張り付けて、その場を乗り切るだけ。

 

私の感情は、その場の状況によって作られる。

 

笑うべきところでは笑って、泣くべきところでは泣く。

 

怒るべきところでは怒って、その場所に適応するだけだ。

 

それが、私自身が持つ本来の感情ではないことなど、誰も気づいていなかった。

 

気づいてほしいと思った頃もあったけれど、本当の私を理解しようとする人はいなかったから、諦めるしかなかった。

 

それでも、諦めてしまえば楽になった。

 

人間は中身など見ようとしない、見た目だけですべてを判断する生き物なのだ。

 

くだらない生き物で、私も同じ生き物なのだと理解した途端、世の中のすべてが信じられなくなった。

 

でも、生きるために仕事をして稼がなくてはいけないから、嘘の感情を張り付けて社会生活を送っていく。

 

そうして何年も経つうちに、本当の感情がなんなのか、わからなくなってしまっていたのかもしれない。

 

 


本当の自分と嘘の自分が混同してしまって、どれが本当の私なのかわからなくなってしまった。

 

どんな人間なのか、どんな考えを持っているのか、自分でもわからないのだ。

 

本当の私はどこにいるのだろう。

 

そんなことを考えることもあったが、それも疲れてしまうだけだ。だから、何年も前に考えることを放棄した。

 

 

 

-------------

 

泪-rui-
 

小説 【彩られた無色】 第2話

  • 2019.05.07 Tuesday
  • 16:54

 

小説 【彩られた無色】

 

第2話

 

 

最近の若者は定職に就かないからダメだ。

 

そんなことを言う大人もいるが、それぞれの理由があるのだから放っておいてほしい。

 

サラリーマンでもOL、大企業の社長、フリーランス、コンビニで働くフリーターでも仕事をしてお金を貰っていることに変わりはないし、金額に差があるのは責任の重さの違いだ。

 

どれが大変で楽なのかなんて基準はない。

 

責任を負えば給与は上がるが精神的疲労が大きい。

 

フリーターは責任重大な仕事を任されることは稀だが、長い時間を働かなければ生活ができない。

 

もちろん、それがすべてに当てはまるわけでもないが殆どの場合はそういうことになる。

 

なにを選ぶかは人それぞれの自由でいいのだ。

 

私の選んだ道を先入観や固定概念で文句を付けないでほしい。

 

 


私がそんなことを考えているのは、働いているコンビニの常連の男性から「いい年なのだから、定職につけ」という話をレジ打ちしながら聞かされたからだ。

 

これまでの話から推測すると、働いていた頃はそれなりの地位にいたサラリーマンらしい。

 

恐らく定年を迎えて隠居しているのだろうが、余計なお世話としか言いようがない。

 

それを笑顔で相槌しながら聞いていたが、心の中では溜息をついていた。

 

仕事の邪魔にならない程度の世間話だから構わないのだけど、少し疲れる。

 

これが感情労働というものなのだなぁなんて諦めにも似た笑いが零れてしまった。

 

 


昼間のコンビニはお客さんが途切れることは殆どない。

 

立地がいいからか、それなりに繁盛しているので下手をすると休憩を取れないときもある。

 

高校時代からここで働いているために古株という扱いで仕事量も多いし、店長補佐のような立場でもある。

 

それ故に、自分が休むことよりも他のバイトやパートに休憩を取らせることを優先してしまうのだ。

 

事務などの雑務も引き受けているために時給はあげてもらっているから、それなりの仕事をするのだ。

 


「恵梨香、悪いけど在庫確認お願いしてもいい?」

 


事務所で本社からの書類をチェックしていた店長が顔を出した。

 

細かい作業が苦手な店長は書類を読むことも嫌がる。

 

なので、すべて私が目を通してから必要なことだけを伝え、どうしても全部読んでほしいものだけ読んでもらうことにしている。

 

頼りにしてくれることは嬉しいけれど、頼られすぎても困るのだ。

 

断れない私のも問題があるのだが、そのおかげで時給が上がっているので仕方ない。

 

 


店長にレジを任せて店内の在庫をチェックした。

 

賞味期限が切れそうな品物の在庫と陳列棚を整頓する。

 

もったいない話だが賞味期限が切れると廃棄しなければいけないので、なるべく売り切るようにしている。

 

割引をして売ることも、従業員が持ち帰ることもできないから本当にもったいない。

 

ポップを作ったり、従業員が商品の感想を書いて貼りだしたりして営業努力をしているが、かなりの成果がある。

 

本社からの指示はあるが、フランチャイズのコンビニなのである程度は自由に活動ができる。

 

 


店内を一通りチェックしてから、事務所に入った。

 

書類に残さなくてはいけないので、店内のことは店長とパートの方に任せる。

 

新しく入った主婦のパートからは「座って仕事ができていいわね」と妬みを言われることもあるが、笑って流している。

 

そんな妬みを抱かれるのは私の仕事量を知らないからだろうし、知っていても自分の仕事が増えないように見て見ぬふりをしているのだろう。

 

それに構っている時間がもったいないし、気を揉むくらいならさっさと仕事を終わらせたほうがいい。

 

お客さんが多くなる時間までに戻らなくてはいけないから、手早く済ませよう。

 


「店長、終わりました」


「ありがと。今日はなにか予定はある?」

 


基本的に女性は夜の勤務をすることができないので、私は夕方6時には上がるようにしている。

 

朝は7時くらいから出勤しているので生活していくには問題はないし、家に帰っても商品ポップを作るなどの内職をしている。

 

そういうものの経費はしっかり出してくれるし、賞与として貰っているので無償労働ではない。

 

自分が器用な人間でよかったと思う。

 


「家に帰って、次の商品ポップでも作ろうかなと」

 


微妙な顔をした店長は溜息をついた。なにが言いたいのですか。

 


「飲みに行ったりしないの?」

 

「しませんよ。フリーターはお金に余裕がありません」


私が貰っている時給は、それなりに高いのだが他の従業員にばれるわけにもいかないので誤魔化しておきたいし、実際に生活だって余裕があるわけではない。

 


「たまにはいいと思うけどなぁ」


「お酒が好きなわけでもありませんから」


「つまんないなぁ」

 


店長のことは好きだし、付き合いが長いから世間話もするけれど。

 

私を人と関わらせようとする言葉は受け入れられない。

 

職場と家の往復しかしなくて、休日は図書館に居座る私を心配してくれているのはわかるけれど、私には本気で人と関わる気はない。

 

それをわかっているからこそ、そんなことを軽くは言っても強制してこないから長く働けているのかもしれない。

 

 

 

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泪-rui-
 

 

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