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小説 【彩られた無色】 第26話 幸せになっていこう

 

 

 

あとがき
 
 
最期までお読みいただき、ありがとうございました。
なかなかの長い期間にわたってしまいましたが、なんとか完結です。
書いている間に、私自身が苦しくなってしまったり、ツラくて筆が進まなくなってしまったりして、長引いてしまいました。
まだまだ、伝えたいことはたくさんあるのですが、また別の作品で書かせていただきます。
 
また、次の作品でお会いしましょう。
 
泪-rui-
 
 

 

 

 

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小説 【彩られた無色】 第25話 運命はあるのかはわからない。

 

 

 

 

第26話 幸せになっていこう

 

 

 
 あれから、2カ月がたって私はコンビニの通常業務に戻っていた。
 店長命令で1カ月間の強制休暇を取らされたけれど、なかなか充実した時間を過ごさせてもらった。
 十分な貯蓄もあったし、生活にも困ることもなかったし、余裕もあったから旅行に行ったりもした。店長からポップや店舗のデザインの勉強しに研修がてら行ってこいと少しだけ援助をしてもらったりもしたけれど、結局はお土産代で消えた。
 大きな美術館や、様々な建築物、小さなギャラリーで開催されている個人作家さんたちの展覧会などにも参加した。
 店長が、私が描いたイラストを使って名刺を作ってくれて、知り合った作家さんに渡したら、私のイラストを知っている方が多くてビックリしたものだ。
 なんでも、名前もなにもわからない、詳細不明のアート作家として、その世界では有名だったらしい。照れ臭かったけれど、見ていてくれた人がいることが嬉しかった。
 私は、もっと自信を持っていいのかもしれない。
 
 今まで、旅行など行ったことがなかった。生活するために働いて、そのためだけに生きて、死んでいくだけだと信じ切っていた。
 目的もなかったし、そんなものを持ちたくもなかった。
 生きていることが、楽しいなんて思えない生き方をしていた。
 
 海野さんと出会って、いろんな経験をして、私は楽しく生きることを覚えた。
 
 少しずつだけど、外の世界を知っていった。
 それも、彼が私を少しずつ外に連れ出してくれていたからだ。
 
 海野さんと一緒に旅行に行きたかったけど、仕事が忙しくて連休をとることができなかった。
 実は、彼と同棲を始めた。
 少し広めのアパートを借りて、2人で暮らしている。1つの部屋は私の作業部屋にしてアート活動をしている。パソコンも買って、ブログなどでネットでの活動も始めた。最近は小説なども書いている。
 そちらのほうでの収入は全くないのだが、彼から「好きなことをして、ゆっくりすればいい」という言葉を貰ったので、甘えることにした。
 引っ越しなどに掛かる費用は私が出した。その代わり、日々の生活はすべて彼が出している。
 実のところ、海野さんは結構いいお給料を貰っていて、2人で生活していく分には充分なのだ。貯蓄もできているので問題はない。
 私が働いた分は、アート活動の資金にさせてもらっている。
 
 旅行で、たくさんのアマチュア作家の方たちと交流ができた。
 おかげで、ブログのアクセスも伸びている。
 
 これで、人並みに稼げるようになるかと言ったら微妙な話だけど、今は好きなことたくさんしようと決めたのだ。
 
 ただの業務でしかなかった作品作りが、楽しくて仕方ないのだ。
 私は、絵を描いたり作品を作ることが好きだった。それに気付かなかった自分がばからしい。
 認めてくれている人はいたのに、それに気付こうとしなかった。
 
 自分のことなのに、わかっていなかったことが不思議だ。
 でも、そんなものかもしれない。
 
 今が幸せかと聞かれたら、よくわからない。
 それでも、好きなことができていることは、幸せなのだろう。
 生きていることが楽しいことも、幸せなのだ。
 
 支えてくれる人があってからこそのことだけど、今は甘えてもいいのだと思うことにした。
 
 落ち込むこともあるし、悩むこともある。
 昔のことを思い出して、苦しくなることもある。
 
 そんなとき、彼は言うのだ。
 
「これから、幸せになっていこうね」
 
 私は、この言葉に救われている。
 
 

 

 

 

泪-rui-

 

 

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小説 【彩られた無色】 第24話 人と関わることを拒み続けてきた

 

 

 

第25話 運命はあるのかはわからない。

 

 

 

 

彼は、私の話を黙って聞いていた。
私は、淡々と話していたつもりだったけれど、心の中は荒んでいたし、泣き出しそうだった。

すべてを話してから暫く黙っていたけれど、彼は深く頷いて、いつもの穏やかな顔で笑った。
「話してくれて、ありがとう」
海野さんは、なにを考えているのだろう。
私には、よくわからない。

「恵梨香ちゃんの気持ちは、わかるよ。俺にも、人を信じられないときがあったから」

言いづらそうにしてはいたけれど、彼は言葉にしてくれた。

「恵梨香ちゃんみたいな女の子を知っているんだ」

海野さんは一瞬だけ苦しそうな顔をした。

「彼女のことを助けることはできなかった」

そんなツラそうな顔をするくらいなら、話してくれなくていいのに。

「初めて恵梨香ちゃんをみたとき、彼女と似ているって思ったんだ」
「その女の子は、今はどうしているの?

彼が泣いてしまうかと思うくらい切ない顔をしていた。

「彼女の心の痛みに気づいて、助けることができたら今も生きていてくれたかもしれない」

彼は笑おうとしていたけれど、私には泣いているように見えた。

「だから、恵梨香ちゃんのことを放っておけなかったんだ」

彼は、その経験があったから、私の叫びに気付いてくれたのだ。
そして、私の傍にいてくれたのは、優しさでしかない。

その女の子が死んでしまった理由を私には知る権利がない。
けれど、この人は私に死んでほしくないと思ってくれたのだ。

私が自分のことを蔑ろにしていること。
生きていることすら、絶望していること。
いつ死んでも構わない、楽しくもない、つまらない生き方をしていること。

そんな私に、救いの手を差し伸べようとしていた。

泣きたくなるくらい苦しい。
喚きたくなるくらい、心は乱れている。

それでも、涙が出て来ることは無い。
どうして、泣くことができないのだろう。

「私は生きていてもいいの?」

絞りだした言葉だった。
それが精一杯で、他にはなにも言えない自分が情けなく感じた。

彼の顔がみることが怖かったけれど、見なくてはいけないと感じている。
私はどんなに情けない顔をしているだろう。
それでも、彼と向き合いたい。

誰かと繋がりたいと思ったのは、初めてだった。
だからこそ、怖いと感じるのかもしれない。

「俺は、恵梨香ちゃんに生きていてほしいよ」

彼の声は本当に優しくて、胸が苦しくなる。

私は、彼を見つめることしかできなかった。
どんな顔をしていたのか、自分でもわからない。

私は、彼になにを言えばいいのだろうか。
この感情を表す言葉を私は知らない。

本当に浅い人間なのだ。
改めて、それを知っただけの話で、知ろうとしなかった自分が惨めだ。

私に生きてほしいと言ってくれた人に、私はどんな言葉を返せばいいのだろうか。
違う。返す言葉はわかっている。

私が、その言葉を返したら私が「生きたい」と思っていることになってしまう。
嬉しいのに、伝えたいのに、生きたいと思っていることを認めることが怖い。

「お腹空いたね。ファミレスにでも行こうか」

お腹をさすりながら彼は、優しい顔をしていた。

 

 

 

泪-rui-

 

 

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  • あなたは、あなたを大切にしてください。私は私を大切にします。
    泪-rui-
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